寒いと体がふるえるのはなぜ?

 

体温を上げるためだよ。

体の中の筋肉がふるえることで、熱が発生するんだ。

体が自然にそうしているんだよ。

 

(くもんなぜなぜカレンダー2020/01/04より)

 

もうちょっと深堀してみよう。

 

 

熱を生むためのはたらき

身体の中で、その場で熱を生み出せるのは筋肉だけだそうな。

それを小刻みに収縮させ震えることによって熱を生み出そうとしている。

肩がすくむのも、首の筋肉を収縮させる目的の動きが原因。

 

医学用語で「シバリング」

体温が低下すると脳の視床下部から骨格筋に指令が行き、全身の筋肉が小刻みに震える。

震えは1分間に最大200〜250回にのぼる不随意運動で、じっとしているときに比べて最大で6倍の熱を作り出す。この現象は医学的にシバリング(shivering)と呼ばれている。

発熱時などに起こる悪寒に加えて身震いや震えが起こることを、悪寒戦慄(おかんせんりつ)という。

これも、体温を上げようと脳からの指令が出ている状態で、意思とは関係なく体が勝手に運動する。

 

→不随意運動
本人の意思とは無関係に身体に異常な運動が起きること。

 

→シバリングと方言で寒いを意味する「しばれる」との関係は
ない。北海道の方言で「とても寒い」を意味するが、身が縛られるほど寒いから来ているという説が有力。

 

 

体温調節のしくみ

間脳にある視床下部には「体温調節中枢」があり、体温を調節する司令塔のような役割を果たす。

この中枢には体温を一定に保つ働きがある。

こうして設定された体温をセットポイント(医学用語)という。

通常、人間の体温は37℃前後にセットされている。

 

寒さを皮膚で感知すると、まず脳から熱を作れという指令が体にくだされる。

それだけでは体温が保てないほどの寒さになると、「震えろ=熱を作れ」という指令が骨格筋に直接届くようになる。その指令に基づき、骨格筋はブルブルふるえて、熱を生み出すという仕組み。

ふるえによって、うまくしゃべったり、歩いたりすることができなくなることがあるが、体温が下がってしまうほど寒い時にはそうした運動(随意運動=自分の意思によって行う運動)を犠牲にしても、体温を調節することのほうが、生命を維持するには優先されると考えられている。

 

発熱

たとえば発熱するときには寒さを感じてブルブル震えて体温を上げようとする。

本来、熱があるのに体温を上げる必要はないように思えるが、熱があると外気温との差が大きくなり、寒いと感じる。

寒さに対する反応として、血管を収縮させることでに血流を減らし、体内の熱が外に逃げないようにする働きもあるわけだ。

 

発汗

逆に暑いときに汗をかくのも体温調節機能によるものだ。

皮膚の平均温度が30℃を越えるとき、または運動などで体温が上昇したとき発汗が起こる。汗が蒸発するときに熱が奪われ(気化熱)、それによって体温を調節しようとしている。

 

→汗をかくと熱が下がる?
熱が下がるときに汗をかくのは事実だが、無理に暑くさせて汗をかかせるのは効果がないそうだ。寒いと感じたときにあたためるのはもちろん必要だが、余計な負荷をかけて体力を消耗させるのは効果的とは言えない。

 

ほかの生き物はどうなのか

恒温動物

一般的に哺乳類と鳥類は恒温動物で、人と同じく外部からの情報によって一定の体温を維持できるような仕組みになっている。

犬が舌を出したり、鳥が羽を膨らませたりするのがそういった作用によるもの。

ただし例外もいるそうなので、一概には言えない。

 

変温動物

いっぽう外気に従って体温を変化させるのが変温動物。

昆虫、魚類、爬虫類、両生類などがそれにあたる。

外気温が下がれば体温も下がってしまうので活動が難しくなり、そのために冬眠したり、卵や幼虫の状態で冬を越したりする。