「ごぎょう」ってどんな植物なの?



道ばたなどに生えている、ハハコグサというキク科の植物のことだよ。

若い茎や葉を七草がゆに入れるんだ。

 

(くもんなぜなぜカレンダー2020/01/07より)

 

 

 

もうちょっと深堀してみよう。

 

 

 

ゴギョウ=ハハコグサ

ゴギョウとは、ハハコグサの異名で、春の七草のひとつ。オギョウともよぶ。

ハハコグサとは、キク科ハハコグサ属の越年草。

道端や畑などに見られる小型の草で、全体が白い綿毛に包まれていて白っぽく見える。この毛は、害虫に食べられるのを防ぐためのものであると考えられている。

葉は細いへら形で、秋に発芽、ロゼット状で越冬し、春から初夏に細かい黄色い花を密に咲かせる。

花が終わるとタンポポのように綿毛をつけて、風に乗せて種子を飛ばす。

 

→ロゼット
もともとは八重咲きのバラの花びらのような配列を現す言葉。
植物の茎と葉のようすを表す植物用語として使われる。地上茎が無いか極端に短く、葉が放射状に地中から直接出ていること、あるいはそれに近い状態をいう。根出葉が円盤状に並んだような植物体を現す言葉。

 

→越年草
秋に発芽して越冬し、翌年に花が咲き実を成す植物のこと。冬型一年草ともいう。

 

なぜゴギョウと呼ばれるようになったのか

厄除けのために御形とよばれる人形(ひとがた)を川に流した、雛祭りの古い風習が関係していると考えられている。

「御形」の「御」は接頭語で、「形」は「人形(ひとがた)」を表す。
草餅がよもぎで作られる以前は、ゴギョウ(ハハコグサ)で作られ、その餅は「母子餅(ははこもち)」と呼ばれた。
3月3日の節句に母子の人形を飾り、母子餅が供えられたことから、ハハコグサは「御形」と呼ばれるようになった。

 

ではハハコグサの語源は?

例によって諸説ある。

有力なものとしては、茎葉全体に白く軟らかい毛が密生し、花が終わった後の綿毛が毛羽立つ(ほうける)様子から、「ほおける草」、ホオコグサ(ホウコグサ)とよばれ、これを昔は「ほほける」を「ははける」と書いたので、当て字でハハコグサになったというもの。

 

→ほおける(蓬ける)
草や髪の毛などが、ほつれ乱れる。けば立って乱れる。

 

あるいは幼苗を「這う子」に見立てて「ホウコ」になり、転じてハハコグサになったという説もある。

また「文徳実録」において、この植物が「母子」「母子草」と記されているとされ、この草の物語を創作し、母子草の字を当てたとの説もある。

 

→文徳実録
平安時代の日本で編纂された歴史書。六国史の第五にあたり、文徳天皇の代である嘉祥3年(850年)から天安2年(858年)までの8年間を扱う。全10巻。

 

→六国史
古代日本の律令国家が国家事業として編纂した6つの一連の正史。
日本書紀(神代から持統天皇まで697年    30巻)
続日本紀(文武天皇から桓武天皇まで    697年 - 791年    40巻)
日本後紀(桓武天皇から淳和天皇まで    792年 - 833年    40巻)
続日本後紀(仁明天皇の代    833年 - 850年    20巻)
日本文徳天皇実録(文徳天皇の代    850年 - 858年    10巻)
日本三代実録(清和天皇から光孝天皇まで    858年 - 887年    50巻)    

 

春の七草

ごぎょうは春の七草のひとつでもある。茎葉の若いものを食用にする。

春の七草とは「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ」のこと。

なずなはいわゆるペンペン草、すずなはカブ、すずしろは大根を指す。

 

七草粥(かゆ)は元々は草を入れるものではなく、古くは七種と書いて「ななくさ」と読み、七種類の穀物のかゆを食べていたそうな。米・大麦・小麦・粟・きび・大豆・小豆。ザ・炭水化物ボンバー。

時代が進み、春を待つという季節感も加わり、七つの草へと変貌していった。

 

また別説によると、中国由来とも。

中国では1月7日を「人日」といい、その年の吉凶を占っていた。

その折、7種類の野菜のスープを食して、無病息災を願ったのだとか。

この風習が日本に伝わり、「七草粥」として定着したとされる。

 

あるいはどちらの説も正しくて、時代の流れの中で混ざり合って形を変えていったのだろうと思える。

 

各種の草が早春にいち早く芽吹くことから邪気を払うといわれ、無病息災を祈って七草がゆを食べる風習に。

古くはまな板の上で、草をトントン叩いて刻むその回数も決められていたとか。
正月疲れが出はじめた頃に食べるありがたい粥、という食べ物の地位を確立していったようだ。